副業の帳簿が続かない人へ──「しゃべるだけ」の記録を4か月続けて分かったこと

副業・お金の立て直し

結論から書きます。副業の売上の記録が続かないのは、意志が弱いからではなく、記録までの手数が多すぎるからでした。自分は数字を打ち込むのをやめて、副業フードデリバリーが終わったら声でしゃべるだけにしました。それから約4か月、録音を忘れる日はたまにありますが、記録はほぼ途切れずに続いています。

この記事では、表計算ソフトで何度も挫折した自分が、なぜ「しゃべるだけ」なら続いたのか。そして、記録を付けておくことが確定申告のときに自分を守ってくれる理由を、国税庁のルールと合わせて書いていきます。

表計算ソフトの売上管理は、静かに消えていきました

 

最初は王道のやり方を試しました。表計算ソフトを開いて、自分で列を作って、毎日数字を打ち込む。うまくいくと思っていました。でも、続きませんでした。

副業フードデリバリーが終わるのは、たいてい夜です。疲れた体で家に帰り、パソコンを開き、デリバリーのアプリを1つずつ開いて数字を転記する。当時は4社のアプリを使っていて、画面も日付の書き方も報酬の出し方も、全部ばらばらでした。そこに現金で受け取る日もあれば、スマホ決済で受け取る日もある。「いくら稼いだか」だけでなく「そのお金がいまどこにあるか」まで追わないと、月末に数字が合いません。

「明日まとめてやろう」が3日たまり、1週間たまり、気づけば月が変わっている。空白のまま放置された表を見るたびに、また自分は続かなかった、という気持ちだけが残りました。そして確定申告の時期になると、過去のデータを掘り起こして青ざめる。これが去年までの自分です。

あとから振り返ると、自分が続けられなかったものには共通点がありました。50代で始めた英語の動画学習、儲かりそうかで選んだ副業、タスク管理アプリ、表計算ソフトでの売上管理。どれも「新しく時間を作らないと成立しないもの」でした。逆に4年11か月・2万件を超えて続いている副業フードデリバリーや、ほぼ毎日のブログは、すでにやっている動作のすぐ隣にあります。

続かない理由は、性格ではなく「手数」でした

会計の専門家の解説を読むと、帳簿が続かない理由はだいたい4つにまとめられています。最初から完璧を目指してしまうこと。レシートや明細がたまって手をつけにくくなること。記録そのものは直接お金を生まない作業であること。そして、やらなければという義務感だけで回そうとすること。

自分はこの4つに全部当てはまっていました。そして、どれも性格の話ではありませんでした。記録にたどり着くまでの手数が多すぎて、その手前で毎回止まっていた、というだけのことです。

意志を強くしようとして失敗したことは、もう何度もあります。だから今回は意志に頼るのをやめて、手数のほうを減らすことにしました。

記録は「面倒な義務」ではなく、自分を守るものでした

もう1つ、記録を続けようと思えた理由があります。記録があるかどうかで、税金の扱いが変わる可能性があると知ったことです。

2022年10月に、国税庁が副業の所得をどう区分するかの考え方を改めました。最初の案では「副業の収入が300万円以下なら原則として雑所得」とされていましたが、7,000件を超える意見が寄せられて修正されました。その結果、取引を記録した帳簿を保存しているかどうかが、事業所得か雑所得かを判断する材料の1つとして、はっきり示されることになりました。帳簿があれば必ず事業所得になる、という話ではありません。実態で判断される部分は残ります。それでも、記録を付けていない人は判断の土俵に上がることすら難しくなる、ということです。

雑所得なら何もしなくていい、というわけでもありません。業務に関わる雑所得で、前々年の収入が300万円を超える人には、請求書や領収書などを5年間保存する義務があります。事業所得で白色申告をしている人も、記帳と帳簿・書類の保存が必要です(帳簿は7年、書類は5年)。

自分は税金の専門家ではないので、自分のケースがどちらに当たるかは、税務署や税理士さんに確認するのが確実です。ただ、「記録は面倒な義務」から「記録は自分の立場を守るもの」に見方が変わったことで、続ける理由が1つ増えました。

自分の1行は「副業フードデリバリーが終わったら、数字をしゃべる」

自分が決めたルールは、1行だけです。副業フードデリバリーが終わったら、その日の数字を声でしゃべる。机に向かう工程を、まるごと消しました。

流れは3つの動作だけです。しゃべる、貼る、保存する。

しゃべるときは、録音デバイスに向かって「今日の現金はいくら、スマホ決済はいくら、Uber Eatsはこれくらい、出前館は」と、思いつくままに声に出します。歩きながらでも、家に着く前でもできます。数字だけでなく「今日は雨で大変だったけれど単価がよかった」といった一言も一緒にしゃべるので、あとで見返したときに、ただの数字の並びではない記録になっています。

しゃべった音声は自動で文字になります。その文字を、自分専用に作った入力フォームに貼ると、ボタン1つで整理された形に変わります。最後にそれをノートアプリに1日1ファイルで保存します。ノートアプリの中には、日々のファイルを週ごと、月ごと、年ごとに自動で集計する仕掛けを入れてあり、年の集計はそのまま確定申告に使える形にしてあります。

いまの手間は、週に1時間ほどです。去年まで申告のたびに青ざめていたのが、いまは年の集計のページを開くだけになりました。

ここでのAIの役割は、考えを整理する相談相手ではありません。入力フォームと集計の仕掛けを作るのを手伝ってもらっただけで、毎日の数字を計算させているわけではありません。AIに頭の中を整理してもらう使い方は「AI壁打ちで頭の中を整理する」に、声で文章を書く道具の選び方は「音声入力を仕事に組み込む【2026年版】」に書いています。

しゃべるだけでは足りないところ

いいことばかりではないので、正直に書いておきます。

まず、録音を忘れる日はいまでもたまにあります。ほぼできてはいますが、毎日完璧というわけではありません。ただ、忘れた日があっても、次の日にしゃべれば記録はまた動き出します。全部を打ち込み直さなければならない表計算ソフトのときとは、そこが違いました。

仕組みを作る途中でも、細かい失敗が続きました。最初は外部のネット接続に頼る作りにしていたのをやめて、フォームの中だけで完結させたこと。数字が1桁しか入らない不具合が出たこと。データの先頭の書き方1つで、ノートアプリが読み取ってくれずにエラーになったこと。そのたびにAIに現象を伝えて、原因を一緒に探して、直しました。いきなり直そうとせず、まず今どうなっているかを正確につかむ。これが一番大事でした。

仕組みができたのは5月の終わりだったので、その年の1月から4月の分は、あとから埋める必要がありました。過去の分は1日ずつではなく月ごとのまとめで対応すると決めて、税金に直結するデリバリー各社の売上履歴から手をつけました。全部を同じ細かさでそろえなくていい、と割り切ったことで、手が止まらずに済みました。

それから、声の記録には声ならではの限界があります。文字起こしは数字を聞き違えることもあります。領収書や明細の原本の保存は、しゃべっても不要にはなりません。「しゃべるだけ」で楽になったのは記録をためるところであって、確定申告そのものが消えたわけではありません。

習慣は「66日で誰でも」付くわけではありません

習慣化の話でよく出てくる「66日」という数字があります。もとになった研究では、新しい行動が自動的にできるようになるまでの日数の真ん中の値が66日でした。ただし、早い人で18日、遅い人で254日と幅が大きく、最後まで自動化できたのは参加者の約半分でした。そして、簡単な行動ほど早く身につく傾向がありました。

だから自分は、記録のほうを「しゃべるだけ」まで小さくしました。気合で66日を乗り切るのではなく、疲れた夜でもできるくらいまで手数を減らす。止まっても、次の日にしゃべれば戻れる形にしておく。

表計算ソフトの売上管理は、続かなかったものの一覧に入っています。しゃべるだけの記録は、約4か月たったいまも続いています。違いは、やる気ではなく、記録までの手数でした。

日々の副業フードデリバリーやFXの記録は、noteで毎日書いています。続かない自分と付き合いながら記録を残している様子を見てみたい方は、noteをフォローしてもらえるとうれしいです。

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