メンタルは手法では直らない──3年負けて残った結論

FXメンタル・スキル

手法を変えれば勝てるようになる。FXを始めてからしばらくの間、自分はそう思っていました。

でも、いま振り返ると、手法は最初からほとんど変えていません。変えなかったのに、何度も同じ場所で崩れていました。この記事は、手法を探し回った話ではありません。手法は正しいと思っていたのに、それを実行する自分のほうが崩れていた、という話です。

手法は、最初から変えていません

自分が学んだのは、リオン式と、その師匠筋にあたる及川式です。リオン式は費用がとても安く、続けるのに無理がありませんでした。及川塾は10年以上続いているところで、読めば読むほど「この人たちの考え方は正しい」と思いました。FXには、不安をあおって高額な塾に誘うものも多いと聞きます。そういう経験は、自分にはありません。

手法の核は、いまも変わっていません。変わったのは細かいところで、たとえば執行足です。及川式やリオン式は5分足で入る形ですが、自分はいま、9割近くを15分足で入っています。5分足ももちろん見ています。でも、手法を乗り換えたわけではありません。

それでも結果は安定しませんでした。やってもやっても、「こんなはずじゃない」という気持ちが出てきて、習っていることと、実際にやっていることがチグハグになっていきました。

口座を3回以上、飛ばしました

一昨年から去年にかけて、口座を3回以上飛ばしています。1つ目は、3倍以上に増やしたあとに、全部なくしました。2つ目も、3倍ほどに増やしたあとに飛ばしました。その後も、小さな口座を何度か飛ばしています。増やせる時期があるのに、最後は全部なくす。この形が、何度も続きました。

2026年の1月から3月も、数字に残っています。約定は261回、勝率は47.1%、プロフィットファクターは0.63。3か月の合計は、マイナス26万円ほどです。月別では、1月がマイナス約8万7,000円、2月が唯一のプラスで約3万2,000円、3月がマイナス約20万5,000円でした。

注意したいのは、勝率が5割近くあったことです。勝つトレードの平均は約3,600円なのに、負けるトレードの平均は約5,100円。勝ち負けの数ではなく、負けるときの金額の大きさが、この3か月を作っていました。1回で26万円を失ったのではありません。小さく勝って、大きく負ける形を、3か月かけて積み上げていました。

この数字をそのまま出せるのは、毎日の記録をブログに書き残してきたからです。記録がなければ、「何となく負けていた」で終わっていたと思います。

「習った通りにやれない」のは、知識の問題ではありませんでした

3年近くやってきて、気づいたことがあります。FXはチャートを見て機械的にやれば勝てると思っていたのに、実際は、いつの間にか感情のほうが強い支配力を持っていました。自分はそのタイプだ、と認めるのに時間がかかりました。

きっかけは、『悩めるトレーダーのためのメンタルコーチ術』という本です。約1年前、「何なんだこれは」と思っていた時期に出会いました。そこから、自分のトレードをブログに公開し始めました。特別なことはしていません。やっているのは、及川式とリオン式だけです。ただ、手法を変えるのをやめて、崩れる自分のほうを見るようにしました。

症状は違っても、起きていることは同じでした

この1年で、崩れ方を1つずつ記事にしてきました。並べてみると、症状は違っても、場面は似ています。

損切りは、知識ではなく別のところで止まっていました(損切りは知識では直らない)。利を伸ばせず、損は大きくするのも同じ根です(損大利小はなぜ起きる)。負けた直後は、取り返したい衝動が強く出ます(リベンジトレードはなぜ止まらないのか)。ルールは守れているのに、実は自分を正当化していた形もありました(隠れリベンジの正体)。

勝った後にも崩れます。利益が出た後の浮かれ気分(利益が出た後こそ危ない)、連勝したあとの危うさ(連勝したあとが一番危ない)、ロットを上げてしまう瞬間(ロットを上げてしまう瞬間)です。損切りした直後に価格が戻る「往復ビンタ」(損切りした瞬間に戻っていく)や、利益を早く確定してしまうチキン利食い(利益を早く確定してしまう)もあります。

回数やチャートへの向き合い方でも崩れました(トレード回数という盲点、チャートから離れられない)。デモでは勝てるのに本番で崩れる理由(デモでは勝てるのに、本番で崩れる理由)、勝てないのに辞められない理由(サンクコストとFX)も書いています。

ここで1つひとつの説明はしません。詳しくは、それぞれの記事に書いてあります。この記事で言いたいのは、症状が違っても、どれも「いまこの瞬間の感情で決めようとしている」という点で同じだった、ということです。コツコツドカンの全体像は、別の記事にまとめています。

手法を変えても勝てない、は自分だけではないようです

台湾の株式市場で、15年分の全取引を調べた研究があります。デイトレードで、手数料を引いたあとも継続的に利益を出せていたのは、全体の1%未満でした。対象は株式で、FXそのものの数字ではありません。それでも、個人が短期売買で勝ち続けるのは、もともと難しい場所だ、ということは言えると思います。自分のメンタルが弱いから負けた、と考えなくていい材料にはなりました。

また、「手法より実行力」という見方は、ブローカー系のメディアでも繰り返し言われています。ただし、これらは学術的な裏付けのある資料ではないので、「そう言われている」という程度にとどめておきます。

直すのは手法ではなく、入る前の手続きでした

意志の力で抑えようとしても、止まりませんでした。心理学では、「もしXが起きたら、Yをする」と事前に書いておく方法が、気合いよりも効果があると報告されています。実行意図と呼ばれるもので、94件の研究をまとめた分析でも、中程度から大きめの効果が確認されています。

自分も、これを使おうとしました。ただ、最初に作ったルールは6つの項目でした。それは「もしXなら、Yをする」の形ではなく、「いちばん勝っていたときのパターン」を並べたものでした。1つでも当てはまらないと、評価が下がります。守れていた日でも、評価は低くなる。9月には、6つとも満たした日だけがマイナスになった週もありました。ルールを守ることではなく、勝ちパターンの再現を評価していたので、自分を減点するだけの仕組みになっていました。

いま、これを本のとおりにシンプルにしています。金額の勝ち負けではなく、「ルールを守れたか、守れなかったか」だけを見ます。いま書いているルールは、次の3つです。

1つ目は、1時間足のミドルより上にいるときは、逃げ回るトレードに徹すること。2つ目は、1時間足のミドルより下にいるときは、積極的にいくこと。3つ目は、ロングの目線やロングの勉強は続けながら、実際に建てるのはショートだけにすること。リオン式の原点に戻る形です。

その外側には、損失の上限があります。1つのトレードの損失も、1日の損失も、固定で1万円までです。1回のトレードで触る通貨ペアは1つだけ。分割して入るのは3回までで、3回まとめて1つのトレードと数えます。ロットは合計で判断し、残高を境に上限が変わります。損失が1万円に達したら、その日はそこで終わりです。

3つ目のルールが言えるようになったのも、メンタルが安定してきたからだと思います。昔の自分は、ショートで負けると「なんなんだ」と思って、ロングを取りにいっていました。

このルール自体も、いまは書き直している途中です。完成したものを見せているわけではありません。

変わったのは「崩れ方」でした

勝てるようになった、とは言いません。変わったのは、崩れ方です。

「この野郎、取り返してやる」と、頭に一瞬でカッと血が上ることが、だいぶなくなりました。小さな波はあっても、3か月でマイナス26万円のような崩れ方は、最近ありません。ここ1〜2か月は、月間でプラスになる月も出てきました。内容も、少しずつ良くなっていると感じています。

いちばん変わったのは、トレードをしない日をつくれるようになったことです。ノーポジションの日は、ここへ来て2回目になりました。1回目は、ルールを破った翌日です。それまでは、どうしても理由をつけて入っていました。一度やってみたら、すっとできました。振り返りで、その日のチャートを見ても、以前なら「機会損失した」と思ったところが、いまは「チャンスまで待てばいい」と思えます。

2回目は、10月9日です。その日は、「チャンスはないな」と判断して、副業フードデリバリーや、ほかの仕事を進めていました。チャートが上下しても、だいたい自分の環境認識と合っていました。合っていないときも、「今日はショートのシナリオが組めない」と思って、すっとノーポジションに決められました。以前は、無理にチャンスを探して入ろうとしていました。

それでも、勝てる保証はありません

ここまで書いても、これで勝てるようになる、とは言えません。相場は、そういう場所ではありません。変わったのは、崩れ方です。勝ち方が見つかったわけではありません。

ただ、崩れ方が変わるだけでも、続けられる時間が伸びます。続けられる時間が伸びれば、また次の記録が書けます。自分の場合、それが、いまの支えになっています。

未来の自分から、いまの自分へ

最後に、成功している未来の自分から、いまの自分への手紙を書いておきます。

いまの自分へ。金額ではなく、パーセントで見て、積み上げていってください。いまの選択ひとつで、この先の写真は変わっていきます。ここで変な選択をすれば、写真の中の自分は薄れていく。ルールを守って、メンタルを安定させたまま良いトレードを続ければ、写真は成功している自分にはっきり近づいていきます。

50歳のいま、あと1年ちょいで兼業トレーダーになる。その場所にいる自分から言います。ここでやり通せば、その通りになれる。たまに少しだけ背伸びして挑戦して、うまくいったら少しだけロットを上げる。失敗したら、なんでダメだったのかを振り返る。それを続けてほしい。


参考

Barber, Lee, Liu & Odean「Do Individual Day Traders Make Money? Evidence from Taiwan」(PDF)/実行意図(if-then)メタ分析(PMC)/金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

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