体を壊さずに副業を続けるために、休む勇気の次に必要だったのは「数えること」と「決めておくこと」でした。業務委託の副業には、何時間働いても止めてくれる人がいません。だから上限は、自分で先に引いておくしかありません。
6月に、「休めない」が一番危ない、という記事を書きました。喉の不調を10日ほど抱えたまま動き続けて、結局は本業を1日休むことになった話です。
この記事は、その続きです。今度は、ちゃんと休めた話と、休んだのにうまくいかなかった話をします。
9月、今度は4日休めました

8月の終わりから、体調が優れませんでした。坂道で無理をして、翌日は7件でふらつき、その次の日は階段で無理をして反省しました。
9月3日、副業フードデリバリーを休むと決めて、6日まで4日間休みました。受診もして、薬を飲み始めています。その週の稼働は3日、18件、8時間12分だけです。
6月の自分なら、たぶん休めていませんでした。「少しくらいなら」と出ていたと思います。今回は休めた。勇気のほうは、少しだけ前に進んだのだと思います。
休んだ初日に、いちばん消耗することをしていました
ところが、休んだ初日に起きたことは、正直に書いておきます。
副業フードデリバリーに出ないことで空いた時間が、そのままチャートを見る時間に置き換わっていました。その日は、週でいちばん多く取引した日です。8回、取引していました。体を休めるつもりで作った時間で、いちばん消耗することをしていたわけです。
夜になって、「見送るなら、チャートも見ない」と自分で気づけたのが救いでした。
空いた時間は、放っておくと、いちばん手近な習慣に流れていきます。勇気は出せました。足りなかったのは、設計のほうでした。
副業が広がるほど、無理をする人も増えています
これは自分だけの話ではないようです。
パーソル総合研究所が2025年10月に公表した「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」では、正社員の副業実施率が11.0%と、過去最高になりました。一方で、副業をすることで「過重労働となり、仕事に支障をきたした」「過重労働となり、体調を崩した」と答えた人は26.9%。リリースでは、過重労働も過去最高水準だとされています。
同じ調査では、本業の残業時間と副業の時間を合わせて、月45時間以上になる人が3割を超えていました。そのうち半数以上が、副業をしていることを本業先に伝えていません。リリースは、会社から見えない「隠れ過重労働」のリスクという言葉を使っています。
会社は本業の時間しか知りません。副業の相手先は、副業の時間しか知りません。合計を見ているのは、自分だけです。
もうひとつ、50代には気になるデータがあります。国の健康づくりの計画「健康日本21(第二次)」の最終評価では、睡眠で休養が十分にとれていない人の割合が増えていて、特に50代で増え方が大きかったとされています。副業を足す前の時点で、自分たちの年代は、もう休養が削れているということです。
業務委託の副業には、上限を引く人がいません
ここが、この記事でいちばん書きたかったことです。
会社に雇われる形の副業なら、本業と副業の労働時間を通算して管理する、というルールがあります。ところが、副業フードデリバリーのような業務委託の副業は、そもそもこの通算の対象外です。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には、フリーランスや独立など労働基準法が適用されない場合でも、就業時間が長時間にならないよう「配慮することが望ましい」と書かれています。望ましい、までです。義務ではありません。
副業の労働時間のルールは、いま見直しが議論されていて、早ければ2027年の通常国会に法案を出すことが目指されている段階です。ただ、業務委託の副業は、もともとこの議論の外にあります。どう決着しても、上限を引く役は空席のままです。
自分にも覚えがあります。コロナ禍のころ、副業フードデリバリーに1日7時間出て、そこに本業が乗っていました。寝ている時間以外は、ほぼ仕事でした。誰も止めませんでした。止める仕組みが、最初からなかったからです。
調子がいい日ほど、疲れに気づきにくい
もうひとつ、自分では止まれない理由があります。
疲労の研究で知られる医師の梶本修身さんは、達成感や高揚感があると、疲れが疲労感として自覚されにくくなることがある、と指摘しています。「疲労感のマスキング」と呼ばれる現象です。
これは、副業フードデリバリーの現場の実感とも重なります。クエストがうまく乗った日、件数が伸びた日ほど、「もう少しいける」と思ってしまうんですよね。
自分の判断が当てにならないことは、別の場面でも思い知りました。9月17日に「体が疲れているときはエントリーしない」というルールを決めたのですが、翌日の夜、「疲れが溜まっている」と自分で口にしたその日に、エントリーしていました。ルールの寿命は1日でした。「疲れている」は、自分では判定できない言葉だったんです。
だから、気分と関係なく読める物差しが要ります。
外側の物差しを1本だけ持つ
ここで使えるのが、週55時間という数字です。
WHOとILOが2021年に公表した共同推計では、週55時間以上働く人は、週35〜40時間の人に比べて、脳卒中のリスクが約35%、虚血性心疾患で亡くなるリスクが約17%高いとされています。この影響は、男性と中高年の働き手で特に大きいとも書かれています。50代の男性である自分には、そのまま当てはまる一文でした。
ただし、これは集団で見た推計です。55時間を1時間超えたら危ない、という個人の予測ではありません。守るべきノルマとしてではなく、気分に左右されずに数えられる目盛りとして見るのがいいと、自分は思っています。
数え方は単純です。本業の時間、副業フードデリバリーの時間、記事を書く時間、チャートの前にいる時間を、1週間分足すだけです。
先週、ざっと数えてみました。55時間の内側でした。ただ、内側だから大丈夫とは思っていません。それでも、「疲れている気がする」という感覚よりは、ずっと当てになります。
「休む」は、寝ることだけではありませんでした
9月3日の失敗を考えていて、ひとつ腑に落ちた整理があります。
日本リカバリー協会の代表理事で医学博士の片野秀樹さんは、著書『あなたを疲れから救う休養学』で、休養を「生理的」「心理的」「社会的」の3つに分け、さらに7つのタイプに整理しています。睡眠は大事だけれど、睡眠だけが休養ではない、という考え方です。
その中に、活力を取り戻すための「攻めの休養」という考え方があって、その条件として、自分で決めたこと、仕事とは関係ないこと、成長できること、楽しむ余裕があること、の4つが紹介されています。
9月3日の自分に当てはめてみると、体は休んでいましたが、チャートの前に座っていた時間は、仕事とは関係ないとは言えないし、楽しむ余裕もありませんでした。休んだのは体だけで、頭は休んでいなかったんです。
副業フードデリバリーも同じかもしれません。体を動かしているので、運動のつもりでいました。でも4つの条件に当てはめると、自分で決めたことではあっても、仕事そのものです。運動のつもりで、仕事を足していたんだと思います。
休める設計を、先に決めておく
ここからは、自分が実際に決めたことです。
1つめは、副業フードデリバリーの上限を、時間で先に決めたことです。9月18日に、1行だけ決めました。3時間以内。クエストを取り切ったら、そこで終わり。件数は先に決めません。3時間の中で10件できればいいし、体調によっては5件や6件でもいい。出られない日は出なくていい。
件数を決めないのには理由があります。目標を10件と先に置くと、届かなかった日が全部マイナスになります。マイナスが積み上がると、次の日は階段を何往復もする物件まで取ってしまうんです。今は、一軒家やエレベーターのあるマンションを優先して、階段の多い物件は意識して見送っています。そのぶん応答率は落ちました。それでも、体のほうを優先しています。
2つめは、休む日は朝のうちに「副業フードデリバリーもチャートも休む」と声に出すことです。空いた時間の行き先を、空く前に決めておく。9月3日の失敗から生まれた1行です。
3つめは、労災保険の特別加入を調べ始めたことです。業務委託の配達員は、本来は労災保険の外にいます。ただ、2021年9月1日から、自転車を使って貨物を運ぶ仕事をする人も、特別加入の対象になりました。加入は任意で、保険料は自己負担です。自分はまだ入っておらず、この記事を書くために調べ始めて、いま検討しているところです。詳しいことは、厚生労働省や都道府県の労働局が出している公的な案内で確かめるのが確実だと思います。
副業フードデリバリーを1日休むと、売り上げ総額で3,000円ほど減ります。9月14日から17日の4日間は、クエスト込みの総額で12,671円。1日あたり約3,200円でした。休めないのは、性格の問題ではありません。休んだ瞬間に収入が止まる設計になっているからです。だから、休んでも止まらない収入をひとつ持つ、という考え方も大事になってきます。この話は、副業を掛け算にする記事に書きました。
勇気の次は、数えることと、決めておくこと
体を壊したら、本業も副業もトレードも、まとめて止まります。振り返ってみると、自分がやってきた節約の中で、いちばんリターンが低かったのは、休養を削ることでした。
6月の記事では、休んでいい、と書きました。それは今も変わりません。ただ、休む勇気だけでは足りませんでした。合計を数えること。上限と、空いた時間の行き先を、先に決めておくこと。気合いではなく、1行で決めておくほうが、自分には効きました。
睡眠そのものの話は、10月に別の記事で書く予定です。それから、自分は医療の専門家ではありません。不調が続くときは、自分で判断せずに医療機関に相談してください。
体と副業とトレードのあいだで、自分が毎週どう崩れて、どう立て直しているかは、noteに記録として残しています。よければ、noteをフォローしてもらえるとうれしいです。


コメント